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相続の補完としての贈与
生前贈与のメリットを生かして、相続が「争続」にならないように、またスムーズな財産承継ができるように、適正な対策を講じることが重要です。 生前贈与のメリット・デメリット
メリット
@分割することが難しい財産を生前贈与することで、相続争いを避けることができる。 A早いうちから生前贈与することによって、資産の有効な活用が可能になる。 B生前贈与によって相続財産を減らすことができ、相続税対策に繋がる。 C「相続時精算課税制度」を活用することにより、生前に一括して財産を承継させることができる。 |
デメリット
@土地や不動産の贈与には、不動産取得税などのその他の税金がかかる。 A相続前3年以内の相続人への贈与は、相続財産に加算され相続税がかかる。ただし、遺産を相続しない相続人や相続人でない孫等への贈与は、相続前3年以内でも相続財産に加算されない。 |
金銭贈与の種類
暦年贈与
相続前3年以内の相続人への贈与は、相続財産に加算され相続税がかかる。
ただし、遺産を相続しない相続人や相続人でない孫等への贈与は、相続前3年以内でも相続財産に加算されません。
結婚・子育て資金贈与
要件
・平成27年4月から平成31年3月までの間の贈与
・父母や祖父母から20歳以上50歳未満の子や孫に「結婚・子育て資金」として一括贈与
・その子や孫ごとに1,000万円までを非課税(結婚関係費用は300万円)
方法
ポイント
・50歳になって余っていたら?…余った金額に対して贈与税がかかる
・父母・祖父母が亡くなったら…余った金額が財産になる
教育資金贈与
要件
・平成27年4月から平成31年3月までの間の贈与
・父母や祖父母から30歳未満の子や孫に「教育資金」として一括贈与
・その子や孫ごとに1,500万円までを非課税(学校等以外は500万円)
方法
ポイント
・30歳になって余っていたら?…余った金額に対して贈与税がかかる
・父母・祖父母が亡くなったら…余っていても相続財産にならない
住宅取得資金贈与
適用条件
・父母や祖父母(義理を除く)から20歳以上の子や孫へ「住宅取得資金」の贈与
・建物の広さ(50u以上240u以内)の制限や中古物件の年数等の制限あり
・子や孫の所得制限あり(もらった年の合計所得金額が2,000万円以下)
・原則として贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住する
・親族の大工に頼んでいない(法人を除く)など
注意点
・合計所得金額とは、@〜Cの合計額
@ 事業所得・不動産所得・利子所得・給与所得・配当所得・雑所得・総合課税の短期譲渡所得
A(総合課税の長期譲渡所得+一時所得)の2分の1
例)保険の満期
B退職所得・山林所得
C申告分離課税(特別控除前)例)収用・譲渡・特定口座
・住宅ローン控除の所得制限…合計所得金額が3,000万円以下
非課税枠(別途110万円枠などはある)
住宅用家屋の取得等に 係る契約を結んだ日 |
良質な住宅家屋 | 左記以外の 住宅用家屋 |
H28年1月〜H32年3月 | 1,200万円 | 700万円 |
H31年4月〜H32年3月 (消費税10%の新築物件) |
3,000万円 | 2,500万円 |
相続時精算課税贈与
『贈与』には、『暦年贈与』の他に『相続時精算課税制度による贈与(精算贈与)』という制度があります。
この制度を選択した場合には贈与時に2.500万円までは非課税となり、それを超える都分に対して20%の税率で課税されます。ただし、相続が発生した場合にはその贈与した財産が贈与時の評価額で相続財産に加算されます。
よって、この制度を選択し、将来値上がりが見込まれる自社株を贈与しておけば、2,500万円までは贈与税の負担はなく、将来、相続が発生した段階でも、贈与時の評価額で課税されるので有利となります(評価額が下がった場合、受贈者が先に死亡した場合には問題となる場合があります)
暦年贈与(110万円枠)
贈与する人 | 制限なし |
もらう人 | 制限なし |
非課税枠 | もらう人単位で年間110万円 |
適用 | 届出等は不要 |
税金 | (金額一110万円)×累進税率(最高55%) |
相続時の合算 | 原則なし。 ただし、相続直前3年内贈与については合算あり |
相続税の節税効果 | 原則あり。 贈与税の非課税枠の年間110万円までは、贈与税がかからない 将来の相続時に相続税の計算対象外となる |
大型贈与 | 多数年にわたり、多人数であれば可能 |
精算贈与(2,500万円)
贈与する人 | 満60歳以上の父母又は祖父母 |
もらう人 | 満20歳以上の子又は孫 |
非課税枠 | 贈与者ごと2,500万円 |
適用 | 一度選択したら、選択後は同一の親からのすべての贈与に撤回不可 |
税金 | (金額−2,500万円)×20% |
相続時の合算 | あり。 (相続時の評価額にかかわらず贈与時の評価額にて合算される) |
相続税の節税効果 | 評価額の変化がなければ原則なし ただし、贈与者の相続時に、贈与時の評価額にて合算されるため 『贈与時の評価額く相続時の評価額』であれば節税効果がある。 |
大型贈与 | 一度に大型贈与がしやすい |